~今日の稽古~
 弟子たちの小部屋 by キョウノケイコ
寶尚會には、幼稚園や保育園のかわいい稽古生が沢山在籍しています。杖の稽古でも、小学生・中学生・大人に混じって「ちゅいげちゅ!」「ちゅきじゅえ!」と元気いっぱいです。小さな体で大きな声を出し、一生懸命な姿を見ると、私も杖の稽古を始めた時の事を思い出します。
随分と年齢を取ってから武道を始めた私は、とにかく動きを覚える事で必死。本手打ちも返し突きもままならず、水月も斜面なんて、さっぱりと頭に入らずわかりません。子供たちはなんなく覚えていくのに、私といったらのろまな亀どころか、ナメクジ以下・・。これは大変なことになったぞ・・!と、緊張と焦りでガチガチになってしまった私は、「シャ・・シャ・・シャメン!!」と斜面で孔明先生のこめかみをコン!
「げっ!す、すみません!!」と言いつつも、次も孔明先生のこめかみをコン!!
あれから時は流れ・・・あの時の孔明先生の表情は今でも鮮明に残っており、子供たちの初々しい斜面はいつもこの一件を思い出させてくれます。この時の失敗を忘れず、そして平常心を失ってはいけないと、自分に言い聞かせている次第です。
その孔明先生も、清眼で塩川先生の頭頂部をお見舞いされた事があるとか、ないとか。あくまでも噂話ですけど。
このお話の続きは、またの次回のお楽しみに。

※水月、斜面、着杖、清眼 
神道夢想流杖道をご参照ください。

 初めての試合
杖道を習い始め1か月後、本手打ちもままならないのに「来月山口で試合があります。3本覚えて試合に出なさい」と孔明先生がおっしゃった。上達するには試合に出て経験を積むことが大切だ!!と、すっかりその気になり、試合の申し込みを済ませてしまった。
「キョウノさんはコーヒーは好きですか?勝つとコーヒーも美味しいですが、負けると苦いですよ」と、孔明先生から励ましのようなそうでないような、良く分からないお言葉を頂いた。
試合が近づくと、緊張のせいか船酔いのようなめまいが起き始めた。そもそも、武道など見たこともしたこともなく、ましてや試合なんてとんでもない。運動会のかけっこくらいしか人と競ったことがないのだから、緊張するのも無理もないか。
仕事の合間に近所の耳鼻科に駆け込み、「なんだかグルグル回るんです」と、ドクターに訴えると、「ストレスですかね?お薬を出しておきますので様子を見てください。お大事に」とのことだった。
試合当日、極度の緊張で口の中はカラカラ。舌が上顎に貼り付いている。太刀を持って下さるY田先生も霞んで見える。
一般無級の部、一回戦を運よく勝ち、決勝進出。対戦相手はF先輩。体格良く大男のF先輩を前にびびりまくりの私は、更に口の中はカラカラ。マラソン後に蒙古タンメン10杯を完食したような状態(本当に食べたことはありませんが)。
どうにかこうにか空振りすることもなく3本を終了することができた。結果は当然の事ながら、F先輩の勝利。終わったころには疲れ果て、ぐったりして虫の息。後にも先にもこんなに緊張したのは初めての事でした。
しばらくして稽古の時に小学生の稽古生に数名に尋ねてみた。
「ねえ、試合の時って緊張せんの?」
「全然せん。」
「ドキドキせんの?」
「せん」
大人は様々な事を頭で考えて動こうとするが、子供たちはただ稽古の時に一生懸命したことを、いつも
通りにするだけなんだ、と、小さな体の中には不思議なパワーが
あるようです。父兄の皆さま、是非とも稽古に励む子供たちを誉めてあげて下さいませ。
「キョウノさん、今度のコーヒーは美味しいですかね?苦いですかね?私はいつも美味しいコーヒーですけど」。この、励ましのようなそうでないような言葉につられて毎年試合に出場することになろうとは。
このお話の続きは、また次回のお楽しみに。
 
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